2017年6月14日の未明に発生したイギリス・ロンドンの高層住宅火災。建物全体が炎に包まれるという衝撃的な火事に発展し、多くの人が被災しましたが、「被害が拡大したのは人災」との声や警察の発表している犠牲者数に疑問の声もあがっています。
イギリス・ロンドンの高層住宅火災は人災?
6月14日未明、ウエストロンドンのノース・ケンジントン地区にある公営高層住宅グレンフェル・タワーで発生した火災。
多くの住民が就寝していた中、火は瞬く間に燃え広がりました。
出火の原因はまだ特定されていませんが、火災の被害がここまで大きくなったのは人災だと言う声も多くあがっています。
複数のメディアは、2016年までに行われた改修工事で、2種類ある外壁材のうち、安くて燃えやすい方が使用されたことが判明したと、ビルのオーナーが住民の安全を軽視していた可能性を報道。
更新:この外壁材は英国で使用が禁止されていたものだと発表されました。
改修前のグレンフェルタワー(左)と改修後
また、外壁以外にも、火災の犠牲者増大につながったと思われる要因が浮上。
『火災発生時は、自分の部屋から出火、もしくは自分の部屋に影響がある場合以外は、室内待機』という避難方針や、『スプリンクラーがついていない』など不十分な防火設備、などが挙げられています。
今回の火事で助かった人が『室内待機していたら、自分も危険だった』『火災時の設備に問題があった』と話している一方で、英BBCは、消防局や英国の建物に関する情報として、
- 室内待機
…グレンフェル・タワーのような大型集合住宅の火災では、一般的な避難方針
- スプリンクラー未設置
…英国でスプリンクラー設置が義務付けられた2007年より前に建てられた高層住宅の多くは、スプリンクラーがついていない
と、説明。
今回の火災を受けて似たような建物の安全基準見直しが迫られており、イギリスのメイ首相は調査委員会設置を発表しました。
また、住民たちから防火設備の不備を繰り返し指摘されていたにも関わらず、管理会社が無視してきたことが報じられ、防げたはずの悲劇に人々は声をあげています。
グレンフェル・タワーのある地区の役所に集まった人々
#GrenfellTower demonstrators continue protest inside Kensington and Chelsea town hall https://t.co/CLEIhCldzN pic.twitter.com/6d2uNXWEit
— BBC Breaking News (@BBCBreaking) 2017年6月16日
ロンドン以外の場所でもデモは行われていますが、暴動などは起きていないということで、被災者の方々への物資提供やボランティア、資金集めにも多くの人が参加しています。
行方不明者・犠牲者数に疑問の声も
火災の発生したグレンフェル・タワーは24階建ての高層住宅で、120部屋余りに最大600人が居住していたと言われていますが、火災当時建物内に居た人数は不明です。
6月14日に火災が起き、16日までにロンドン警察が発表した犠牲者数は少なくとも30人で、重体が12名。
『犠牲者数が3桁にならないことを願う』とコメントしていた警察は、17日、『悲しいことに、行方不明者は亡くなったと推定され、犠牲者は58人です。』と発表しました。
BBCニュース – 【ロンドン火災】 少なくとも58人が推定死亡と警察 女王は「国中が深沈」と声明 https://t.co/mQZlewclni pic.twitter.com/xpkATLA6YY
— BBC News Japan (@bbcnewsjapan) 2017年6月17日
犠牲者数はさらに増えると見られていますが、警察の発表している行方不明者・犠牲者数に疑問や批判の声も聞かれます。
もちろん、犠牲者が増えることを願っている人はいませんが、『地元民やメディアが把握している行方不明者数より、かなり少ない』『現地の掲示板に貼られている行方不明者の写真より、ずっと少ない』などと言われています。
更新:6月19日、推定犠牲者の数は79名と発表
ネット上では、『犠牲者・行方不明者数を意図的に少なくしている』という意見も多く見られ、「火事から逃れようと建物から飛び降りて亡くなった人を、火災の犠牲者数に含めていない」と訴えている人たちもいます。
被害に遭った方やご家族のことを思うと言葉もありませんが、行方不明の方が見つかり、今後同じようなことが二度と起こらないことを祈ります。
まとめ
- イギリス・ロンドンの高層住宅火災で被害が拡大したのは、人災とも言える要因が複数ある
- 6月17日時点で、警察は行方不明者も亡くなったと推定し、犠牲者の数を58人と発表
- 火災の原因や実際に行方不明になっている正確な人数は不明