4月18日、イギリスのメイ首相が2020年に予定されていた総選挙を今年6月に前倒しする意向を発表。分断が起きている議会の支持基盤を固め、今後のEU離脱交渉をスムーズに進める狙いがあると見られています。
イギリスのメイ首相、EU離脱に向け総選挙を前倒し?
議会承認後、6月に実施予定
イギリスのメイ首相は4月18日に首相官邸の前で会見の行い、直前に行われた閣議で総選挙を6月8日に行うよう求めることで一致したと発表。
本来であれば、総選挙はEU離脱が完了した後の2020年に行われる予定でした。
6月8日に総選挙を行うかどうかは4月19日の議会採決で決定する予定で、総選挙を実施するためには下院議員の3分の2以上の支持が必要。
すでに、最大野党である労働党の党首コービン氏らも賛成を表明しているため、6月に総選挙が行われる可能性は高いと見られています。
現在は議会が分裂状態
会見の中でメイ首相は、総選挙を前倒しする理由について…
国が大変重要な問題に直面している今、議会は団結する必要があるにもかかわらず、実際には分断が起きています。
野党はEU離脱の交渉に関して、様々な方法で離脱の成功を脅かしているのです。
彼らは、我々が決定した方針を変えられると思っているようですが、それは間違いです。
もし、今総選挙を実施しなければ、彼らの政治ゲームは続いていきます。
政界の分断は、国を不安定な状況に陥れる危険があり、総選挙は今必要なのです。
と述べ、計画に基づいたEU離脱交渉を妨害している野党に挑戦状を叩きつけ、国民に信を問いたいという姿勢を示しました。
【現在の支持率】
- 与党・保守党=44%
- 野党・労働党=23%
【イギリス総選挙の制度】
イギリスの総選挙は、定数650人の下院(庶民院)議員を選ぶために単純小選挙区制で行われます。
有権者は選挙区で1人の候補者に投票し、1選挙区で1人しか当選できません。(任期は5年)
2015年の総選挙では、保守党331、労働党232、スコットランド国民党56、諸派31の議席を獲得し、保守党党首のデイヴィッド・キャメロン氏が首相に任命されて、第二次キャメロン内閣が発足しました。
突然の発表にビックリ!
キャメロン首相に代わって就任後、一貫して強い姿勢を見せてきたメイ首相ですが、その中でも最大の決断である今回の総選挙。
この突然の発表は、イギリスでテレビやネットのニュース、翌19日の新聞でも一面で大きく取り上げられました。
記事の見出しには驚きや強硬姿勢を表す文言が並んでおり…
メイ首相の青天の霹靂
Wednesday’s Telegraph: “May’s bolt from the blue” (via @hendopolis) #tomorrowspaperstoday pic.twitter.com/VUwBnuV4qI
— BBC News (UK) (@BBCNews) 2017年4月18日
妨害者をぶっ潰す
Wednesday’s Mail: “Crush the saboteurs” (via @hendopolis) #tomorrowspaperstoday pic.twitter.com/fSAsrOD1EN
— BBC News (UK) (@BBCNews) 2017年4月18日
他にもデイリー・ミラーデイリー・エクスプレスザ・サンなど色々ありました。
今回の総選挙が行われた場合、メイ首相側が圧勝すると予想されていますが、どのような結果になってもイギリスがEU離脱するということ自体には影響しない見通しです。
イギリスは2017年3月29日にEU離脱を通告しており、2年の交渉期間を経て、2019年3月にEUを離脱する予定です。
まとめ
- イギリスのメイ首相が議会を解散して、総選挙を行う意向だと発表
- 議会で3分の2以上の支持を得て承認されれば、6月8日に行われる予定
- 現在は、EU離脱の方針に関して議会内で分断が起きている