オランダとトルコの関係が悪化しているようですが、原因や政治集会の目的は何だったのでしょうか。また、オランダ国内にいるトルコ人たちも反発してデモ活動をしているようですが、オランダにはどれくらいのトルコ人が住んでいるのかまとめました。
オランダ&トルコの関係が悪化
原因は?
オランダとトルコの関係悪化の原因は、トルコの閣僚がオランダに入国拒否されたこと。
オランダ政府は、ロッテルダムで行われる政治集会で演説予定だったトルコのチャブシオール外相の乗った飛行機の着陸許可を取消。
チャブシオール外相はオランダに入国できませんでした。
トルコのチャブシオール外相
FM Cavusoglu: “Ankara will respond 10 times stronger to the Dutch government’s decision.” https://t.co/6fHIJF1NDL pic.twitter.com/MXQ9yAgZEd
— Turkey PM Press&Info (@ByegmENG) 2017年3月12日
『アンカラ(トルコの首都)はオランダ政府の決定に対して、10倍の威力のある応酬をするだろう。』
また、チャブシオール外相の入国拒否を受けて、ドイツのデュッセルドルフから陸路でロッテルダムに向かったトルコのカヤ家族・社会政策相もロッテルダム市当局に受け入れを拒否され、ドイツ国境まで送り返されました。
・・・
これに対し、トルコのエルドアン大統領は『オランダはナチス・ドイツの残党でファシストだ』と怒り、オランダ国内ではトルコ人たちがオランダ政府に抗議するデモも発生。
オランダ・ロッテルダムのトルコ領事館前で11日遅く、同国在住のトルコ人らが、オランダがトルコ外相の訪問を拒否したことに抗議するデモを行った。デモはおおむね平穏に行われたが、12日未明になって警察は放水銃や騎馬警官を動員してデモ隊の… https://t.co/uEypz0iH44
— AFPBB News (@afpbbcom) 2017年3月12日
このデモには1,000人以上のトルコ人が集まり、警察がデモ隊の強制排除に乗り出すなど、一時騒然となりました。
オランダ政府は、トルコ閣僚の入国を拒否して政治集会を中止させたのは『治安上の理由』と説明しています。
政治集会の目的は?
トルコの閣僚が演説予定だった集会の目的は、4月16日にトルコで行われる国民投票で憲法改正の支持を訴えることです。
国民投票で問われる憲法改正の内容は…
【憲法改正案】首相のポストを廃止して、大統領に権限を集中させる
(※現在の憲法では、行政の主な権限は首相が持っています。)
もし憲法が改正されれば、エルドアン大統領がさらに強い権力を持つことになるため、国民に憲法改正の支持を訴えています。
トルコのエルドアン大統領
President #Erdogan has urged Turkish citizens living abroad to participate in the upcoming referendum. https://t.co/vnaTyaMblf pic.twitter.com/30C3KVsrDD
— Turkey PM Press&Info (@ByegmENG) 2017年3月9日
外国に出向いてまで支持を得ようとしているトルコの閣僚たちですが、オランダをはじめヨーロッパには、どれくらいのトルコ人が住んでいるのでしょうか。
オランダ在住トルコ人の人数は?
外務省の公表している最新の統計によるとオランダの人口は1,705万人、トルコは7,875万人。
国外在住のトルコ人は550万人で、オランダには約40万人のトルコ人が住んでいると言われています。
(※オランダ在住の日本人は、2016年時点で7,550人)
ちなみに、オランダだけでなく、ドイツ、オーストリア、スイスも今月開催予定だったトルコの政治集会の開催を禁止・中止していて、ドイツには150万人、オーストリアには11万6,000人のトルコ人が住んでいるそうです。
11日にドイツへの入国を拒否されたトルコのチャブシオール外相ですが、12日にはフランス・メッスで開かれたトルコ系住民の集会に参加して演説しました。
インタビューに応じるチャブシオール外相
#LIVE Turkish FM Cavusoglu speaks in Metz. Watch: https://t.co/sdtpyYdu8o pic.twitter.com/wbMSbBr5nL
— TRT World (@trtworld) 2017年3月12日
チャブシオール外相は『オランダは謝罪だけでは不十分。トルコ政府はオランダへの手段を計画している。』と話し、オランダのルッテ首相は『トルコはナチス発言を詫びるべき。扇動的発言を続けるなら、次の措置を考える。』とお互いに一歩も引かずに緊張が続いています。
まとめ
- 政治集会で演説予定だったトルコの閣僚たちが、治安上の理由でオランダ入国を拒否される
- トルコのエルドアン大統領やチャブシオール外相は怒り、オランダをナチス呼ばわり
- オランダもトルコに謝罪を要求し、両国間の関係が悪化
ヨーロッパの治安がどんどん悪化しているような気がして心配です…。